「今日不思議な夢を見てここに来たんだ、来る用事なかったのに」
何の話かわからなくて曖昧に首をかしげてると、
「これは私とあなたの縁だから言っておく。
あの彼氏の後方、少し離れたところに水子がいる。まだ形もなしてない陰だけど、2人。
あなたには見えないからそれはあなたの縁じゃない」
何も言えない私に彼女は何かに気づいたように「あ、その水子って言うのはね」と説明しようとして止めた。
「水子は知ってる、うん、知ってる、でもちょっと頭ついてこない」
「あ、うん、私も私の妄想かもしれないと思ってる」
ふいに沈黙が流れて、電車の来訪を知らせる音楽が鳴った。
彼女は「全部、あなたの縁じゃないよ」ともう一度言って挨拶もなしに去っていった。
私は頭の中で昔のことを思い出してた。
彼女は同じクラスの時、相手に何かを伝えようとするときに「あ、」と一言発してから話し始める癖があった。
彼女なりに一生懸命話そうとしてる時の癖。
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